【放送直前レビュー】大河ドラマ第21回「蝦夷桜上野屁音」─狂歌と風刺が交錯する江戸後期の光と影
風刺の才人・大田南畝とは?
今回の大河ドラマの主軸となる人物、大田南畝(おおたなんぽ)は、江戸時代後期に活躍した幕臣でありながら、「狂歌師」としての顔を持つ風流人でした。「蜀山人(しょくさんじん)」の号でも知られています。
狂歌とは、ユーモアと皮肉を込めて世相を詠む和歌の一種。当時の庶民文化や政治の矛盾を巧みに詠み、笑いを通じて問題を提起するスタイルは、現代のSNS文化にも通じるものがありますね。
役人でありながら民の声に耳を傾け、狂歌という武器で社会と向き合った南畝の姿勢は、今なお共感を呼びます。そんな彼の生涯を通じて、我々が生きる時代に通じる何かが描かれようとしているのです。
第21回の見どころと予告から読み取る展開
第21回のサブタイトルは「蝦夷桜上野屁音(えぞのさくら・うえののへおと)」。タイトルからして、南畝の風刺のセンスが感じられます。
予告編では、蝦夷(北海道)で起こる幕府の支配と先住民の対立、それを狂歌という形で江戸から発信しようとする南畝の葛藤が描かれるようです。まさに「屁音(へおと)」──つまり、聞こえてくるが無視されがちな庶民の本音がテーマなのでしょう。
この時代、幕府は国防の観点から蝦夷地の開発と支配を強めていました。しかしそれが、先住民族であるアイヌの人々との軋轢を生むことにもなりました。その事実を、どのように詠み、そして視聴者に問いかけてくるのか──注目です。
主なキャストと期待の声
放送に先立って発表されているキャスト陣も、実に魅力的です。特に大田南畝役には、実力派俳優の桐谷健太が起用され、その知性とユーモアをどう表現するのか、大いに期待が高まっています。
そのほか、田沼意次、徳川家治役として渡辺謙、眞島秀和といった名優たちも出演。人間ドラマとしても深みのある展開が予想されます。
大河ドラマは毎年、歴史ファンはもちろんのこと、家族で楽しめるドラマとしても支持を集めていますが、今回はその中でも「言葉」と「風刺」という、ちょっと知的なテーマを扱っているところがユニークです。
あとがき:江戸の笑いと今をつなぐ一話になるか
南畝が詠んだ狂歌の多くは、軽妙な言葉の裏に社会への深い洞察を含んでいます。そんな彼の姿を通して、私たち自身が日々見逃しがちな“屁音”──つまり、静かなる声に耳を傾ける大切さを再認識させられるのではないでしょうか。
放送は2025年6月1日(日)。大河ドラマファンはもちろん、歴史や文学が好きな方にも、ぜひ注目していただきたい一話です。
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次回の放送後には、実際のストーリーと演出についても感想記事をアップする予定です。お楽しみに!